TOM’S JOURNAL ・・・ LEXUS RC-F の 2UR とは #1

#TOM'S JOURNAL 2026.9.19

5.0L V8「2UR-GSE」を、改めて知る。

2014年に登場したLEXUS RC F。

レクサスのスポーツモデル「F」を象徴する一台として登場し、その心臓部には5.0L V型8気筒自然吸気エンジン「2UR-GSE」が搭載されました。

改めてRC Fというクルマを見てみると、登場した当時とは少し違った魅力が見えてきます。

なかでも、RC Fを語るうえで欠かせないのが「2UR-GSE」です。

5.0L、自然吸気、V8。

スペックだけでも十分に特別なエンジンですが、その開発背景を調べていくと、単に大排気量で高出力なエンジンを目指したものではなかったことが分かります。

そこにあったのは、人がクルマを運転したときに何を感じるのか、という考え方でした。

IS Fから受け継がれた「2UR-GSE」

2UR-GSEの歴史は、2007年に登場したLEXUS IS Fから始まります。

ベースとなったのは、LEXUS LSなどに搭載されたUR系V8エンジン。

そこからLEXUSのハイパフォーマンスモデル「F」に相応しいエンジンを作るため、トヨタ自動車とヤマハ発動機によって2UR-GSEが共同開発されました。

興味深いのは、その開発目標です。

ヤマハ発動機の技報には、IS F用2UR-GSEについて、

「伸び感」
「レスポンス」
「サウンド」

という、人の感性に訴える3つの性能を追求したことが記されています。

そして、その考え方は後に登場するRC Fへと受け継がれていきます。

RC Fの2UR-GSEは、IS Fと何が違うのか。

RC Fにも同じ「2UR-GSE」という型式のエンジンが搭載されています。

しかし、IS FからRC Fへ移行するにあたり、ヤマハ発動機の技報では「ほとんどの部品を見直し」たと説明されています。

実際、その変更内容を見るとかなり大掛かりです。

排気量は4,968ccのままですが、圧縮比は11.8から12.3へ。

吸気バルブの最大リフト量は12.0mmから13.0mmへ拡大。

スロットル径もφ76mmからφ83mmへ大型化されています。

さらにIS Fでは耐熱鋼だった排気バルブをチタン製へ変更。

吸気側だけでなく排気側にも軽量なチタンバルブを使用することで、高回転化に対応しています。

最高出力の発生回転数も、IS Fの6,600rpmからRC Fでは7,100rpmへ。

RC FのV8が高回転まで一気に回っていく感覚には、こうした細かな技術の積み重ねがあります。

「空気の入り方」まで作り直した。

RC F用2UR-GSEの技術資料を読んでいくと、特に興味深いのが吸気系です。

エンジンは、空気を吸い、燃料と混ぜて燃焼させ、排気することで力を生みます。

そのため、単純にたくさんの空気を入れればいいわけではありません。

RC Fではシリンダーヘッドの吸気ポートを高流量化すると同時に、シリンダー内へ入る空気に強い「タンブル」を発生させる形状へ変更しています。

タンブルとは、燃焼室へ入った空気が縦方向に回転する流れのこと。

この流れを適切に作ることで燃料と空気をより良く混ぜ、効率の良い燃焼につなげています。

そのために、吸気ポート上流の流れをより直線的にし、流速を維持しながらタンブルを強化。

バルブ付近でも空気の流れが剥離しにくいよう、加工方法まで変更されています。

そしてピストン側を含めて燃焼室形状を最適化し、圧縮比を12.3まで高めました。

ただ圧縮比を上げれば、ノッキングの問題が出てきます。

そこでRC Fではシリンダーヘッド内部のウォータージャケットも見直し、冷却水の流速を高めることで燃焼室温度を抑えています。

つまりRC Fの2UR-GSEは、

「もっと空気を入れる」
「もっと圧縮する」
「もっと高回転まで回す」

だけではありません。

燃焼、冷却、吸気をひとつのシステムとして見直すことで、5.0L自然吸気V8の性能をさらに引き出しているのです。



まだまだ、変更点はあるのですが、
続きは、次回と致します。


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